第5回 南阿蘇ルナ天文台の情報発信 その2〜熊本地震と南阿蘇ルナ天文台
震災から2週間後、仮営業がはじまった後も「森のアトリエの今」、ひいては「南阿蘇の今」を伝える投稿が続きます。メディアには映りにくい、実際に南阿蘇で被災した一施設にどのようなことが起こったのか、そこに関わる人たちがどのような思いを抱いたのか、毎日発信しました。
▲仮営業再開後、改めて震災の夜を振り返った投稿
また、被災地の外から来たお客様が、今の南阿蘇を体験して何を感じ何を思ったのか。当館のお客様の声、すなわち「震災後、南阿蘇に宿泊したお客様の生の声」もたびたび発信しました。
▲5/3に宿泊したお客様の声を紹介する投稿
さて、仮営業を開始して数日後のGW、スタッフが集まって課題を話し合いました。被災した南阿蘇を支えてくれるたくさんのボランティアの方々、当館を訪れることで支援してくれるお客様、そういった方々の力になるために、私たちにできることはなんだろうか? その結果生まれたのが「南阿蘇ルート動画3部作」です。
熊本市方面から南阿蘇へ至る主要2ルート(阿蘇大橋と俵山トンネル)は、いずれも震災によって通れなくなってしまいました。迂回路は急ピッチで整備されましたが、情報が不足していることによって、交通について強い不安を抱える方が被災地内外にたくさんいたのです。
これを解決するために、
(1).震災後に実際に走行し、
(2).道路や町の様子も包み隠さず全編ノーカットで、
(3).安心して来ることが出来るように解説を多く盛り込んだ、道案内動画を作りました。
▲南阿蘇ルート動画の最初の投稿。3部作合計で14万回以上再生されている
また、南阿蘇内外の情報を受け取る方に合わせた多彩な情報発信を続けます。
被災地に在住の方やボランティアの方には、かねてより続けていた道路情報や生活情報の発信に加え、未就学児のいる家庭に向けた「お母さんのためのほっこり会」や、無料天体観測のご案内などの支援への取り組みを。そして被災地の外にいる方には、大きな被害を受けたメルヘン村の様子や義援金、全5回のチャリティーコンサート、著名な観光地「白川水源」の震災後に撮影した動画などの、「南阿蘇の今」と「復旧に向けた歩み」を発信し続けています。
▲「お母さんのためのほっこり会」第1回の告知。以来毎週火曜日に開催している。
▲「震災1ヶ月後の白川水源」動画。10万人にせまる多くのファンから再生とコメントをいただいた。
情報発信を通してふれる、厳しい状況にも負けない被災地の方々の様子。そしてそれを支えようとするあたたかい支援の輪。
個人や一施設ができることは限られています。けれども、できることをひとつひとつ積み重ねていくことができれば、そんな小さな積み重ねがネットでも現地でも交わることによって、新しい未来が開けるのではないかと思います。