第4世代型公開天文台  一家に一台望遠鏡

天文観察にイノベーションを起こす
スマート望遠鏡×ポケット天文GO!×天文サブカルワールド創造

インターネット公開天文台

既存の公開天文台などの天文施設ですが、その運用方針を施設中心主義からユーザー中心主義に変えて、インターネットのリモート操作によって広く設備利用を公開し、新たな利活用をうながします。

最新のインターネットを通したリモート技術の発展により、天体望遠鏡の操作や天体観測、天体写真の撮影などを、遠隔地からリモートで行う事が可能になってきました。

こうしたインターネット天文台は海外にいくつか例がありますが、国内においては大型望遠鏡の利用はこれからです。

以下のクラブ運営計画例のように、天体の写真撮影や観測、新天体捜索などの機会を一般にも公開し、申込制によって多くのプロの観測者やアマチュア天文家に提供する事により、“公開“ 天文台の意味は大きく変わってくることでしょう。

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新天体捜索クラブ

(複数のメンバーでチームを組んで天文台の望遠鏡をリモート操作し、超新星を共同捜索する)

新しく発見される「彗星」や「小惑星」、「新星」や「超新星」など、新天体の発見には、未知の事柄を発見しようと挑む人たちの熱い思いと物語があります。なかでも何千万光年ものかなたの銀河に現れる超新星の捜索には、人類の永遠の課題である「宇宙の起源と未来の謎にせまる」大きな意味があります。

しかし、日本国内では小口径の望遠鏡によるアマチュア天文家の活躍がほとんどで、比較的大口径の望遠鏡(口径40㎝以上)があまり使われておらず、これもまだまだ未開拓の分野なのです。

リモート天体撮影クラブ

(自宅のパソコンから天文台の望遠鏡をリモート操作して、天体写真を撮影する)

「神秘の環を持つ土星」、「何千億の星々が渦をまくアンドロメダ銀河」。だれもが一度は目にした事のある天体写真は、多くの人の心に宇宙への夢とロマンをかき立ててきました。

しかし、天文機材やデジタル処理の進んだ現在では、意外にも観賞用天体写真の撮影技法は、アマチュアによる小望遠鏡での撮影によって確立されたものがほとんどで、公開天文台の大口径望遠鏡の活用はあまりされてこ来ませんでした。

大口径望遠鏡の性能は、小さく・暗く・ぼんやりした天体を、より大きく・明るく・くわしく見せる事ができることです。

そこで、これからは大口径望遠鏡を使って、一般の方でもこれまでにない素晴らしい鑑賞用天体写真の撮影と画像処理ができるように基盤を整備し、世の中の多くの方がたに宇宙の夢とロマンを届けたいと思います。

日本には400か所以上の公開天文施設があり、なんと、その数は世界一です!

しかし、大半がハコモノ行政によって建てられてその後の運営に苦慮している所が多く、中でも人件費・運営費の目途が立たないために望遠鏡の操作にあたる専門の解説員が不在であったり、アマチュアボランティアの運営に任されている所なども数多く、最近では閉鎖や休館の憂き目にあっている事例に事欠きません。

もしも、大型望遠鏡を持つインターネット公開天文台が技術的に確立され、その運営をしっかりとしたノウハウを持つ組織が受託できるように成れば、こうした多くの天文台があらためて利活用されるようになり、天文台王国日本の資源活用に大きな福音となるのではないでしょうか

南阿蘇ルナ天文台では、すでにそうしたインターネット公開天文台の構築に着手しており、今後はパートナー企業との共同開発によって、不特定多数による天文台共同利用の実証実験に取り組みたいと計画しています。

インターネット天文クラブ

ユーザー視点で見てみると、ユーザーが本当に求めているのは、望遠鏡そのものではなくて、望遠鏡(モノ)+家族や友人との楽しい星見会(コト)?

あらゆる情報をデジタルで手に入れることができる現在、ネットには探査機や大望遠鏡による天体写真があふれています。さらにVRやARといった、デジタル環境下でよりビジュアルな刺激とリアル化が進んでいく中で、天体望遠鏡を使って眼視で天体を見る事はどんな意味があるのでしょうか。

今どきの、都会で星が見えないような状況の中で、星見や宇宙への関心・欲求にどうやって火をつけ、それを満たしていけるのでしょうか。

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以前は、望遠鏡で見る天体にあこがれる天体少年がたくさんいて、小さな望遠鏡から入門してだんだんと観察や観測が本格化してマニアになっていくという段階がありました。

しかし、今は最初からネット環境ですごい天体写真にさらされていて、あえて眼視で天体を観たいという願望が湧きにくくなっているのではないかと思います。

このような現代の状況の中で、例えば、コンビニ総菜で育った若者が、やがて新鮮な食材で作られた本格的な手作り料理にあこがれて行くように、むしろデジタルな天体環境で育ったユーザーが、やがて本当の満天の星の下で天体観察をしたいと思うようになるような、以前とは逆の関心の持ち方になっているのではないでしょうか。

また現代の天体観察会は、一人で天体の姿を見る事が目的ではなく、むしろ「家族や仲間とワクワクする星見パーティで盛り上がってみたい」というようなコトの方がより大きな目的になってきているのではないでしょうか。

それであれば、もちろん従来のように天体望遠鏡を使って眼視で星を見せる事を一方で進めながらも、他方ではいきなり天体写真を撮ってそれを見て楽しんだり、ディスプレイに移るリアルタイムの天体を見て楽しんだり盛り上がったりするような、デジタルな星見の機会をたくさん提供し、そこから宇宙・天文に興味関心を持ってもらい、やがてはリアルな星を目指すという従来とは逆の流れも、今日では妥当かも知れません。

さらに、天体観察にあこがれて望遠鏡を買っても、途中で挫折してしまう大きな原因の一つが、天体望遠鏡の使い方が分からず、また覚えようとしないために、月以外の天体を導入する事がむずかしい事が挙げられます。

そこで、これらの状況から現代ユーザーのインサイト(深い要望・欲求)を想定してみると、以下のようになるのではないでしょうか。

「個人や家庭でも買える程度の安価で小型の可愛い望遠鏡が、ポンと置くだけで観たい目的の天体を自動で発見して撮影し、明るい都会の空の下でも天体のイメージが見えるようにディスプレイではっきり見せてくれる。それを見ながら、家族や友人など身近な人たちで大いに楽しく盛り上がり、思い出つくりにもなる。そんな望遠鏡(モノ)+星見パーティ(コト)を提供してくれないかな・・・」

もし、そんなコトが本当に現実になったら、これは誰かが撮影した天体写真をネットで観ているのではなくて、間違いなく今ここでリアルにみんなで楽しんでいる天体観察会になるでしょう!

もし、そのようなモノ+コトがあったなら、ユーザーはすぐにSNSなどでその天体データを友人たちに自慢したくなり、結果として、天文・宇宙への関心が高まっていく事になるでしょう。また、この望遠鏡がWi-Fiでネットにつながったら、お互いの情報交換が進み、さらに自然な流れとして天文コミュニティも出来て、ネット上の星見パーティで盛り上がりたい人も出てくるでしょう。
このようにして、以前にはない大きな天文需要と天文人口が生まれてくる事になると思います。

これは、従来型の公開天文台に代わる、新しい形での天文公開活動の促進と位置付ける事も、出来ると思います。

こうした事をすすめるのが、「インターネット天文クラブ」構想であり、一連の第4世代型天文台プロジェクトの中でも最も重要なものになる可能性があります。

 

ポケット天文GO!!

そもそも望遠鏡はいらない? シェア× コミュニティ=天文サブカル化

もし、ユーザーの願いが、楽しい星見パーティで盛り上がる事であるのならば、あえて「望遠鏡を使った天体観察会」という枠を取り去ってやれば、もっと桁はずれに多く広範なユーザーが、参加できるのではないでしょうか。

現代はシェアの時代なので、望遠鏡というモノを所有する事が必ずしもユーザーの喜びではなく、結果として「楽しい星見パーティ」に参加できればそれで良いという事になります。

スマホアプリでゲームをしたりSNSでつながったりするように、ネット社会のインフラ・プラットフォーム上で、まさに天文をゲーム化したりネット・コミュニティで盛り上がったりする、新たな天文サブカルワールドを創る事ができれば、従来の天文のマーケットで想定していたようなユーザー層ではない新たなユーザー層が増えることになるでしょう。

この層は、自分たちでは望遠鏡を買ったり撮影したりはしないかも知れませんが、「インターネット天文クラブ」が提供する一斉同時観察会に参加したり、その天体画像を取得したりするようなゲームorコミュニティ活動が、両方の層をつなぐことになるでしょう。

このようなユーザー層が増えることは、さらにケタ外れの天文需要や天文人口のすそ野を広げる事になります。結果的にはインターネット公開天文台や、インターネット天文クラブのユーザーへと変化していくエントリー層を育てることになるので、そこには本当に大きな意味があります。

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もしも、ネットコミュニティ上での天文活動であるポケット天文 GO!!が成立するのであれば、その先に想定できるのは、天文活動の究極の目的でもある宇宙を知るという事かも知れません。

現代の天文学によれば、宇宙はこの宇宙ただ一つではなく、無数の宇宙やパラレル宇宙があるのかも知れないのです。そこには、あらゆる想定のあらゆる形の宇宙が無数に存在するでしょう。

私たちのこの世界はゲームやネット上の虚構ではありませんが、人類の知的な活動は、けっして物理的なくびきに縛られることなく、自由に想像の翼を羽ばたかせることができるのです。

今回の第4世代型天文台構想の将来に、こうした自由な宇宙の創造を描いておくのは、新たな領域の開拓というチャレンジの余地を残して置く意味からも、案外必要で楽しい事かも知れませんね。

なぜなら、人類は未知なるものへのロマンを感じ、生きていく存在でもあるのですから。

 

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