熊本地震から立ち上がろうとしている南阿蘇ルナ天文台の様子を、まとめていきます。 

第2回 熊本地震の発生 〜熊本地震と南阿蘇ルナ天文台

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2016年4月14日、南阿蘇村は震度5弱の前震、続く16日には震度6強の本震に襲われ、天文台は体験した事のない振動によって何度も激しくゆすぶられました。幸いにも建物は倒壊をまぬがれ、天体望遠鏡本体も奇跡的に無傷であったものの、宿泊施設や天文台の建物、設備、また望遠鏡の電子制御系などに大きな損傷を受ける事になったのです。私たちは、本震の後の割れて散乱したガラス類や倒れた家具を建物の中に残して外に出ると、泊りあわせたお客様たちと、地震でゆれる車の中で眠れぬ夜を過ごしました。

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その夜の事は、私たちは決して忘れる事はないでしょう。夜空は一面の銀の星ぼし。停電でまったく灯りの消えた南阿蘇の地上世界の上には、例えようもなく美しい星の世界が広がっていたのです。朝まだきの高原の冷気の中で、ものを言わない星たちは、しかし静かに圧倒的な存在感でそこに光っていました。
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そして、私は今さらながらハッと気がついたのです。当たり前だと思って過ごしている人間世界の日常は、実は仮の姿だという事を。
人類が生まれる前から存在しているこの地球、そして人類が地上世界から消えてしまった後でも輝き続けるであろうこの星空。その宇宙の姿が今ここにあるのだと。
そして、天文台で私たちがこれまで毎夜人々に伝えていたのは、人間を超えた大きな世界がある事、それを知る事でもう一度人間の世界の大切さが見えてくる事ではなかったのかと。
天文・宇宙を知る事がいかに大切であり、また実感を伴った体験が人生においていかに貴重であるのか、身を持って感じ、本当に理解した瞬間でした。

翌日から、私たちはそれぞれ水も電気もない避難生活を送る事になり、一時はバラバラになっていましたが、やがて集まって活動の再開を誓いあったのです。それから、天文台ドームや望遠鏡の仮復旧のために多くの専門家たちが救援に駆けつけていただき、また建物の仮修復作業も自分たちの手で行いながら、地震発生から2週間後には、まがりなりにも仮営業を開始する事ができたのでした。

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